理学療法士とは|スポーツトレーナーとの違いや働き方をインタビュー
理学療法士は座る・立つ・歩くなどの基本動作の改善を図り、日常生活を支援する専門家です。
医療や福祉に接する機会のある方には馴染みのある理学療法士ですが、具体的な仕事内容を知らない人は多いのではないでしょうか。
この記事では、理学療法士の仕事内容やスポーツトレーナーとの違いなど、現役PTのインタビューを交えて解説します。
【インタビュー:大西メディカルクリニック係長 理学療法士 斎藤勝則】
目次
理学療法士とは
理学療法士とは、基本動作能力の回復や維持、障害の悪化の予防を目的に、自立した日常生活が送れるよう支援する医学的リハビリテーションの専門職です。
Physical Therapist(PT)とも呼ばれます。
理学療法の主な対象者は、病気やケガなどで身体に障害のある人のほか、障害の発生が予測される人です。
運動療法や温熱、電気などの物理的手段を治療目的に利用する物理療法を用いて、治療を支援します。
参考:理学療法士とは|理学療法士を知る|公益社団法人 日本理学療法士協会
理学療法士になるには国家試験の合格が必要
理学療法士になるには、国家資格の取得が必要です。
受験資格は、4年制大学か3年制の短期大学、3、4年生の専門学校、特別支援学校などで3年以上学ぶことで取得できます。
作業療法士の資格を所持している場合は、養成校で2年以上学ぶことで受験資格の取得が可能です。
また、外国の養成校を卒業、または外国で理学療法士の免許を取得した場合は、所定の手続き後に厚生労働大臣の認定を受けることで、養成期間や単位が免除される場合があります。
参考:理学療法士になるには|理学療法士を知る|公益社団法人 日本理学療法士協会
理学療法士とスポーツトレーナーの違い4点
スポーツトレーナーとは、スポーツに関する指導や身体をケアする仕事です。
身体をケアする点では理学療法士と共通しておりますが、具体的に何が異なるのでしょうか?
この項目では、理学療法士とスポーツトレーナーの違いを4点解説します。
- 資格の有無
- 就職先
- 年収
- ケアの対象者
1.資格の有無
1つ目は資格を保有するかどうかです。
理学療法士は国家資格であり、免許を持たない者は理学療法士として働けません。
一方、スポーツトレーナーはスポーツ選手のケアや支援を行う仕事の総称で、資格は必須ではありません。
ただし、スポーツトレーナーになるために、理学療法士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師といった医療系の国家資格や、アスレティックトレーナー、JATI認定トレーニング指導者(JATI-ATI)、NSCA認定パーソナルトレーナーなどの民間資格を取得する方もいます。
【アスレティックトレーナー】
アスレティックトレーナーには、日本スポーツ協会(JSPO)とジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会(JATAC)などが認定する資格があります。
それぞれが実施するカリキュラムやテストに合格することで取得できる民間資格です。
日本スポーツ協会のアスレティックトレーナーは、スポーツドクターやコーチによる協力のもと、スポーツ選手の安全と安心を確保したうえで、パフォーマンスの向上を支援します。
主な役割は以下4つです。
- スポーツ活動中の外傷・障害予防
- コンディショニング・リコンディショニング
- 安全・健康管理
- 医療資格者へ引き継ぐまでの救急対応
これらに関する知識と実践能力を養うことで、スポーツ選手の健康管理やケガ予防、救急処置、リハビリなど、医療とスポーツをつなぐパイプ役を担います。
2.就職先
2つ目の違いは就職先です。
理学療法士は病院などの医療施設に務めるのが一般的ですが、スポーツトレーナーはフィットネスクラブやトレーニングジム以外に、プロのスポーツチーム、スポーツ選手との契約、実業団などのチームを持つ企業といった医療施設以外で働くことになります。
日本理学療法士協会の2023年3月末時点の調査では、理学療法士の約76%が医療施設で働いているという結果が出ています。
【理学療法士協会会員の分布】
医療施設 | 87,508人 |
介護サービス施設・事業所 | 17,004人 |
障害福祉施設・障害福祉サービス事業所 | 1,475人 |
教育研究施設 | 2,943人 |
行政・自治体・団体・機構等(病院・介護保険・障碍者関連施設を除く) | 747人 |
法人本部等 | 352人 |
企業、企業公的保険外(ヘルスケア産業・予防等)サービス | 1,410人 |
その他(上記すべてに該当なし) | 41人 |
※休会者含む
参考:統計情報|協会の取り組み|公益社団法人 日本理学療法士協会
理学療法士を取得することで、活躍の場が広がるでしょう。
3.年収の違い
3つ目は年収の違いです。
理学療法士の平均年収は、賃金基本統計調査によると約430万円です。
参考:理学療法士(PT) – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))|厚生労働省
比較的安定している理学療法士の平均年収に対してスポーツトレーナーは、就職先・携わる仕事の分野によって大きく異なります。
例えば、フィットネスクラブやジムなどで働くスポーツインストラクターの平均年収は、約383万円とされている一方、実業団やプロスポーツチームなどの専属スポーツトレーナーとして活躍できれば、収入がアップする可能性もあります。
参考:スポーツインストラクター – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))|厚生労働省
4.ケアの対象者
4つ目の違いは、ケアの対象者です。
理学療法士が病気やケガなどで身体に障害のある人、障害の発生が予測される人を対象にするのに対し、スポーツトレーナーは主にスポーツ選手のパフォーマンスの向上を支援します。
対象者が広い理学療法士の仕事は、治療内容もさまざまです。
高齢や手術により体力が低下した人以外にも骨折やヘルニアなどの整形外科疾患、肺炎などの呼吸器疾患、脳卒中といった中枢神経疾患など、さまざまな患者様をケアします。
その際は、医師の処方に応じて患者さんの症状を評価して適切な理学療法を提供します。
【現役理学療法士】インタビュー
理学療法士の斎藤勝則さんは、2016年に大西メディカルクリニックに入職し、現在では係長として患者様のリハビリと整形外科の診察補助に従事しております。
2012年に日本スポーツ協会認定アスレチックトレーナーの資格を取得し、理学療法士として従事する傍ら、JFA U13エリートプログラムに帯同しスポーツトレーナーとしても活躍しております。
※JFA U13エリートプログラム:日本サッカー協会(JFA)が13歳以下の選手を対象に将来の日本代表選手を育成するプログラム
理学療法士とスポーツトレーナーの二刀流で充実した日々を送る斎藤さんに、理学療法士として働く魅力や経験、これからの展望について伺いました。
理学療法士を目指したきっかけ
理学療法士については、スポーツトレーナーの専門学校の先生が理学療法士で、そこから深く知ることになりました。
初めは「こんな仕事があるのか」という程度にしか認知しておらず、詳しく知りませんでしたが、スポーツトレーナーを目指すに当たって、理学療法士を取得することで自身の価値を高めようと思って取得しました。
理学療法士の魅力は
治療を受けた患者様から直接感謝されることが一番の魅力だと思います。
大西メディカルクリニックには日々多くのリハビリ患者様が来院されます。
膝が痛いと来院された患者様が目の前で「楽になった」とお帰りになる姿を見て、いい仕事だと感じますね。
また、稲美町は陸上競技が盛んなこともあり、スポーツをしている学生さんを診ることもあります。
以前には、大会1週間前に捻挫したフリースタイルフットボールの選手を診たこともありました。
その際はアイシングや電気、マッサージなどさまざまな治療を行った結果、なんとか大会に出るところまで回復し、最終的に決勝まで進出できたと伺っています。
高校のサッカー部でスポーツトレーナーをやっていた前職の経験も行かせていると思います。
仕事と家庭の両立は
寛容な妻のおかけで、上手くいっている?と思います。(笑)
土曜日の午後は本来なら休みですが、兵庫大学女子駅伝部のスポーツトレーナーとして選手をサポートさせていただいています。
完全な休日が少ない中、好きなことをさせてもらっている妻には感謝ですね。
アスレティックトレーナーになるのは難しい?
日本のトレーナー資格の中では難関だと思います。
理論試験の合格率は20〜30%と言われており、私も正直受かるとは思っていませんでした。
勉強にはなかなか身が入りませんでしたが、試験前の3か月間はみっちり勉強しました。
当時は過去問がなく、勉強する方法が確立されていなかったため、仲間で問題を考えるなど手探りで対策していました。
現在では、理論試験問題の基礎・応用の両方とも過去問が公表されています。
スポーツトレーナーを目指す方は、ぜひアスレティックトレーナーの資格取得を目指してみてください。
稲美・大西メディカルクリニックで働く魅力とは
大西メディカルクリニックに来院される学生達は、純朴でいい子が多いですね。
それと、星空が綺麗に見えます。出身の大阪に比べて、自然を感じられるところが魅力だと思います。
その一方、スーパーやディスカウントストアなど日常生活に必要なインフラは揃っている上、高速道路も近いため神戸・姫路にもアクセスしやすく、住みやすいですね。
理学療法士として働くにはとてもいい環境が整っていると思います。
今後の展望は
現在は1単位(20分程度)しか患者様に付き添うことが難しいのですが、今後は個別リハビリ以外に運動指導などを行える環境にしたいと思っています。
理学療法は高齢者を対象としたイメージが強いと思いますが、小学生でも対応可能です。
理学療法士・スポーツトレーナーの二刀流として、幅広い年代の方をサポートしていきます。
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大西メディカルクリニックは、医師を初め、看護師、理学療法士が連携して診療、リハビリに取り組んでいます。
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